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レトロスペクティブ

高畑勲特集


日本のアニメーションが世界を席巻しています。また数々の才能ある監督が注目されています。しかし、「グローバルに日本を代表するアニメーション監督は誰か?」と問われた時に、真っ先に“高畑勲”の名前が浮かびます。
高畑の作品はエンターテイメントであると同時に、深い思考に満ち、社会批評が織り込まれています。そして緻密で論理的に組み立てられています。高畑が2018年に世を去って5年が過ぎましたが、その作品はいまなお日本だけでなく世界のアニメーションのクリエイターに影響を与え続けています。
今回のレトロスペクティブ部門は、“高畑勲の「映像」と「思考」を探る”をテーマにしました。長年積み上げた作品を一望し、また高畑と関係者のあった人たちの視点を加えることで、“高畑勲”の思想はよりクリアになるのでなるはずです。アニメーションを通じて日本の知性を届けてきた高畑勲は、今の時代こそ注目されるべきでしょう。

オールナイト新潟

フィクションとしての“時代劇”の意味


歴史を題材とする「時代劇」は、過去の事実とフィクションが混じり合うことで物語の牽引力を発揮し、人々の心を捉えてきました。しかし、かつて実在しながら現在と異なるからこそ、舞台や登場人物の再現、時代考証など映像化のハードルは高いのです。そのなかで絵を描くアニメーションの技術は、時代劇の映像化に特別な力を発揮してきました。優れた演出、アニメーター、脚本家、考証家のもと数々の傑作が生みだされています。
SF・ファンタジー全盛のいまだからこそ、アニメーションが描く“時代劇”の魅力、失われることのない意味を過去の傑作と共に問います。