Messages

審査委員長
押井 守
President of the Jury
Mamoru OSHII

「私は審査委員長という立場で参加します。国際映画祭という場を借りてアニメーションの魅力を改めて世界のみなさんに伝えられるのは、とても意味のあることだと思います。私は映画の監督もやっていますので、それと比較しつつ、分かりやすく、「アニメーション映画とは何か」を伝えられるのではないかと思っています。
たとえば役者の芝居とアニメーターの作画は何が違うのか、映画とアニメーションの監督の役割がどう違うのか、そしてフルアニメーションではない日本のアニメーションだけが出来得る独特の表現とは何かを、新潟国際アニメーション映画祭から、世界に発信できることと期待しています。」

Mamoru Oshii, Chairman of the Jury
I will participate as the chair of the judging committee. I think it is very meaningful to take the opportunity of an international film festival to convey the appeal of animation to everyone in the world. I'm also a movie director, so I think I can convey "what is an animated movie" in an easy-to-understand manner, comparing to the movie.
For example, what is the difference between the actor's play and the animator's drawing, how the role of the director of the movie and the animation is different, and what is the unique expression that only Japanese animation that is not full animation can do. I hope that I can send such massages to the world, from Niigata International animation film festival.

Juries

ジェネラル・プロデューサー
真木 太郎
Film Festival Secretary General in Tokyo
Taro Maki

かつては”ジャパニメーション”と呼ばれた日本のアニメーションは、”アニメ”という言葉になりました。そして配信の時代になった現在は、グローバルコンテンツとも称されます。全世界に多くのファンを獲得した「アニメ」は同時にその生産量の多さからか、消費されるコンテンツの側面も持っています。
以前は子供やマニアが対象だったアニメーションですが、もはや全世界的に一般的なエンターテインメントになろうとしています。そういう背景を踏まえて、この新潟国際アニメーション映画祭では、アニメーションの持つ価値の再発見や再評価の試みも重要な目的の一つです。国際的なのクリエイターとの交流やアーカイブ作品の上映はもちろんのこと、アニメーション研究者に発表の場を提供し、またワークショップなどの人材育成も行います。
日本で最も多くのアニメーションとマンガのクリエイターを輩出し、アニメ情報館やマンガ図書館を持つ新潟が、世界中のアニメーション関係者の、有意義な出会いの場になるように、私は努力したいと思います。

Formerly known as "Japanimation," Japanese animation has become “the worldAnime." And now that we are in the age of distribution, it is also called global content. "Anime", which has gained a lot of fans all over the world, also has the aspect of content that is consumed, probably because of its high production volume. It was previously targeted at kids and enthusiasts, it's about to become a popular entertainment worldwide. Against this background, one of the important objectives of this Niigata International Animation Film Festival is to rediscover and re-evaluate the value of animation. In addition to interacting with international creators and screening archived works, we also provide a place for animation researchers to make presentations, and also develop human resources such as workshops.
I would like to make efforts so that Niigata, which produces the most animation and manga creators in Japan and has an animation information center and a manga library, will be a meaningful meeting place for animation-related people around the world.

プログラム・ディレクター
数土 直志
Program Director
Tadashi Sudo

新潟から新たなアニメーションの意味づけを

アニメーションの楽しさをもっと多くの人に知ってもらいたい。
アニメーションの新たな意味づけをしたい。
新潟国際アニメーション映画祭は、2023年3月にそうした想いと共にスタートします。

21世紀になり、世界のアニメーション映画は多様化と多角化が顕著になりました。
変化は「創造する地域」「テーマ/ジャンル」「作品を伝えるメディア」の3つで見られます。

まずは「創造する地域」です。いまアジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、中東、オセアニまで、世界中でこれまでの歴史にない量のアニメーションが制作されています。
多様な作品を価値づけし、発見するには、同様に多角的な新たな視点が必要とされています。しかし制作が世界に広がる一方で、作品の情報や価値を共有する場所はヨーロッパや北米に偏りがちです。
新たな変化を捉えるのに、日本ほど最適な場所はありません。長い間、東アジア、東南アジアのアニメーションのクリエイティブネットワークのハブであった日本は、多くのクリエイティブや情報が集まっているからです。

新潟という都市も重要なポイントです。クリエイティブの多極化は、国単位だけで起きているわけではありません。
日本では長くアニメーションは東京一極集中とされていました。しかし制作技術の進展と昨今のコロナ禍による生活様式の見直しもあり、いま東京以外の地域でアニメーションの制作活動をする人が増え、新しいスタジオも次々に立ち上がっています。新潟はアニメーションと漫画を創る新しい地域として、まさに台頭しつつあります。
その新潟で国際アニメーション映画祭を催すことで、アニメーションの世界に起きている変化を伝えたいのです。

もうひとつ提案したいのは、長編アニメーションの重視です。
ジャンルが多様化するなかで、なぜ長編アニメーションのフォーマットにこだわるのか?
現在は映画祭でも注目の高い長編ですが、映画文化のなかで注目されるようになったのはごく最近です。米国アカデミー賞で長編アニメーションが初めて設けられたのは2001年だったことを思い出してください。
アニメーション映画祭では長らく、短編に特にスポットがあたっていました。短編には絵画や彫刻、音楽と同様の作家性がより表れると考えられていたためです。
一方で長編はいまアニメーション文化の多様性の最先端となっています。ヨーロッパの巨匠たち、巨大な予算をかけるハリウッド制作のCG、“アニメ”と呼ばれる日本の2Dスタイル、さらに多くの地域から独自の文化と歴史を背負った作品が登場しています。しかし、これらは同じ視点からの批評がなく、ばらばらな世界に存在しています。
“映画”と共通の視点を与えることで、分断を超えた新しい価値づける。そこに作品の並列化が生まれるはずです。新潟はアニメーションの新しい見方を提案することで、アニメーション文化の発展に寄与します。

そして最後に伝えたいのが、アニメーションを見る体験です。
映画はもう何十年も前から、テレビ、ビデオソフトなどを使って家庭でも見られています。いまは動画配信サービスの普及で、さらに手軽に、スマートフォンでも観ることが可能です。
しかし手軽に観られる時代だからこそ、作品を観る体験が重要になっているはずです。パーソナル空間での鑑賞と、映画館という他者と時間と空間を共有するなかでの鑑賞はまた経験が違います。アニメーションにおいて、その異なった経験を提供したいのです。

それはこれまでの劇場映画の枠に捉われない理由でもあります。配信映画やVR、仮想空間で存在する作品も、映画祭という場を与えることで新しい価値が生まれるはずだからです。そうした鑑賞の共有体験の楽しさをより高めるためにも、新潟の豊かな文化は大きな力を発揮できるはずです。

新潟は日本海に面する最大の都市・港であり、中国や韓国、ロシアを結ぶ交通と文化のネットワークとしての長い歴史を持ちます。豊かな自然と歴史、クリエイティブへの積極的な取り組みが多くの人を引き寄せています。
年に一度、新潟に来れば世界のアニメーションの新しい価値、トレンドが知ることが出来る。
新潟国際アニメーション映画祭は、そんな場所になるはずです。

Giving New Meaning to Animation from Niigata

We want to give animation a new meaning.
The Niigata International Animation Festival will start in March 2023.
In the 21st century, animation films around the world have become more diversified and variegated.
The changes can be seen in three areas: the regions where they are created, the themes/genres, and the media that convey the works.

First is the "creative region”. Today, an unprecedented amount of animation is being produced around the world, from Asia, Europe, America, Africa, the Middle East, and Oceania.
Valuing and discovering these diverse works requires new multiple perspectives as well.
However, while production is spreading around the world, the places where information and value of works are shared tend to be biased toward Europe and North America.
There is no better place than Japan to capture new changes. Japan has long been the hub of the East and Southeast Asian animation creative network, and as such, is home to a great deal of creativity and information.

The city of Niigata is also important. Multipolarization of creativity is not just happening on a country-by-country basis.
For a long time, animation in Japan was considered to be concentrated in Tokyo.
However, with the development of production technology and the recent lifestyle changes caused by the COVID disaster, more people are creating animation outside of Tokyo, and new studios are springing up one after another.
Niigata is truly emerging as a new region for the creation of animation and manga.

By holding the International Animation Festival in Niigata, we hope to convey the changes that are taking place in the world of animation.

Animation journalist. Author of the book "Who will create anime in the future?" (Seikaisha Shinsho)

Boad Member/Staff

新潟国際アニメーション映画祭実行委員会
委員長 堀越謙三
Executive Committee Chairman of NIAFF
Kenzo Horikoshi

海洋貿易都市・新潟

新潟ではこの約30年の間に3000人のアニメ、マンガのクリエーターが専門学校を中心に育成されている。人材育成では日本で最も刺激があり、さらに大学にはアニメ・マンガ学部がある。これはアニメーションの技術者だけではなく、プロデューサー等も含めた、アニメーション業界が必要とする人材を全て新潟で、しかも制作現場で育成できる、ということを意味します。
また新潟は、ロシア、朝鮮半島、中国に向かった日本海最大の国際貿易都市として、300年以上の歴史を持つ。それはイタリアのジェノヴァやヴェネツィアなどの地中海に臨んだ海洋都市、あるいはドイツのンハンブルクなど、北海に臨んだハンザ同盟都市と同様に、新潟は幕府統治の時代でも、自ら統治しようとした市民都市としての歴史と、海洋都市という地勢が、クリエーターに必須の自由な想像力、批評精神を培ってきたはずだ。
その土壌こそ新潟が多くの著名なマンガ家やアニメーション・クリエーターを輩出してきた根拠であり、この映画祭を開催する理由だと言える。また新潟は海外貿易ばかりでなく、映画祭のロゴに採用した北前船で、北海道から京都へと最高の食材を運び、新潟の発酵文化とともに、日本食の味の基本を決める役割も果たしたといえよう。
新潟は日本一の酒どころ。さらに九州一周に匹敵する海岸線から採れる、案外知られていない多様な海産物を食べながら、熱くアニメーションを語り合える場所を提供して、新潟で国際映画祭を開催するもう一つの、重要な根拠にしたい。

堀越謙三:ユーロスペース代表。
製作に「アネット」「Like Someone in Love」「スモーク」、著書に「インディペンデントの栄光」(筑摩書房)