Award

大川博賞・蕗谷虹児賞は、毎年、アニメーションの制作スタジオ、そして技術職のスタッフを選出し、その業績を本映画祭で顕彰するものとして2023年より発足しました。賞の名称は東映動画初代社長、大川博氏と挿絵画家でアニメーション監督の蕗谷虹児氏を記念するものです。両氏ともに当映画祭開催地・新潟県出身で、初の本格的スタジオ「東映動画スタジオ」を起ち上げ、日本初のカラー長編アニメーションを製作するなど、第二次大戦後の日本のアニメーション文化の立上げに大きな役割を果たしました。

第4回大川博賞
『ひゃくえむ。』

ひゃくえむ。

©魚豊・講談社/『ひゃくえむ。』製作委員会

ロックンロール・マウンテン

2020年設立。岩井澤健治率いるアニメーション制作スタジオ。実写映像をベースにしたロトスコープでの制作を得意とし、劇場長編アニメーション第1作の『音楽』は米アニー賞にノミネート、第2作『ひゃくえむ。』は米アカデミー賞の審査対象入り。現在は次回作の劇場アニメーションを準備中。

受賞理由

大川博賞は、アニメーション文化の発展に寄与し、制作の未来を切り開くスタジオおよびプロデューサーの業績を評価するものです。第4回新潟国際アニメーション映画祭は、2025年公開作品『ひゃくえむ。』の制作などを通じて、アニメーション業界にて新たなチャレンジを行った功績を称え、ロックンロール・マウンテンに対し、大川博賞を授与いたします。
岩井澤健治監督の個人スタジオとして設立されたロックンロール・マウンテンは、『ひゃくえむ。』の制作において、従来の個人制作が持つ作家性やユニークな創造性を最大限に維持しつつ、「メジャー」作品としても通用するパフォーマンスを発揮する、新たな長編アニメーションの在り方を提示しました。
その実現を支えたのが、キャラクターデザイン・総作画監督の小嶋慶祐氏をはじめとするスタジオ外部の優れたプロフェッショナルたちとの連携です。高い技術と知見を持つクリエイターの協力を得て、商業的な安定性と、個人的な創造性を両立させる、新しい制作パイプラインを共に構築したことは、日本のアニメーション制作の多様性を守り、未来の才能に道筋を示す画期的な試みです。
結果として生まれた『ひゃくえむ。』は、その制作過程と同様に、芸術的かつ技術的に極めて完成度の高い作品となり、多くの観客と業界関係者から熱狂的な支持を受けました。
また、岩井澤監督は、鈴木竜也監督『無名の人生』でもプロデュースを担当するなど、若い才能のフックアップにも積極的な姿勢を見せています。
本映画祭は、貴社がこれらの挑戦を通じて示した、既存の枠組みにとらわれない開かれた制作姿勢と、才能あるクリエイターの能力を最大限に引き出すプロデュースワークを高く評価し、ここに本賞を贈ります。

第4回蕗谷虹児賞
『ChaO』『ホウセンカ』

ChaO

©2025「ChaO」製作委員会

ホウセンカ

©此元和津也/ホウセンカ製作委員会

伊藤秀次(『ChaO』作画監督、『ホウセンカ』原画)

日本のアニメーション業界において、長年にわたりアクションおよびエフェクト作画のスペシャリストとして第一線で活躍しつづけている。水、炎、爆発などの自然現象やダイナミックなキャラクターアクションを、独自のアニメーション表現へと昇華させる卓越した技術を持つ。代表作に『スチームボーイ』(原画)、劇場版「NARUTO」シリーズ(作画監督・原画など)、『ストレンヂア 無皇刃譚』(作画監督協力、原画)、劇場版「ドラえもん」シリーズ(原画)、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(原画)、『天気の子』(サカナ設定、原画)、『すずめの戸締まり』(サダイジン(巨大化)設定、プロップ設定、原画)ほか多数。

受賞理由

第4回新潟国際アニメーション映画祭は、伊藤秀次氏に対し、2025年公開作品『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』『ChaO』『ホウセンカ』における卓越した功績、ならびに長年にわたるアニメーション表現への貢献を称え、蕗谷虹児賞を授与いたします。

長きにわたり携わり続けてきた「映画ドラえもん」シリーズの最新作に加え、日本のアニメーション表現を拓く記念碑的な作品となった『ChaO』と『ホウセンカ』において、伊藤氏が原画を手がけたカットは、観客を圧倒する映像体験を創出しました。

氏は、水・炎・風・雷・爆発といった自然現象や、キャラクターのダイナミックなアクションを、アニメーションならではの快楽へと昇華させる「作画」表現への取り組みにおいて、常に第一線を走り続けてこられました。本年は、氏が携わった劇場長編アニメーションが立て続けに3作品公開され、氏の長年の研鑽と、数多の名作を支えてきたキャリアを象徴するような年であったと言えるでしょう。

本映画祭は、対象の3作品における氏の目覚ましい貢献に加え、日本のアニメーション表現の可能性を拡張し続けてきたこれまでの歩みそのものに対し、最大の敬意を表します。

第4回(2026年)選考委員

  • 石田 美紀
    (新潟大学)
  • 木村 智哉
    (開志専門職大学)
  • 北條 誠人
    (NIAFFプログラム・ディレクター、有限会社ユーロスペース代表)
  • 梨本 諦嗚
    (NIAFFプログラム・ディレクター、映画監督、株式会社サニーレイン代表取締役)
  • 内田 昌幸
    (NIAFFプログラム・ディレクター、株式会社新潟アニメーション代表取締役)
  • 土居 伸彰
    (NIAFFジェネラル・アドバイザー、株式会社ニューディアー代表取締役)

これまでの受賞

第3回(2025年)

大川博賞:
シンエイ動画(『窓ぎわのトットちゃん』制作)
蕗谷虹児賞:
押山清高(『ルックバック』作画)、井上俊之(『ルックバック』作画)、木村絵里子(『ルックバック』音響監督)、林ゆうき(『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』音楽)

第2回(2024年)

大川博賞:
CLAP(『映画大好きポンポさん』制作)
蕗谷虹児賞:
東地和生(『アリスとテレスのまほろし工場』美術)、丸尾みほ(『かがみの孤城』脚本)、本田雄(『君たちはどう生きるか』作画)

第1回(2023年)

大川博賞:
東映アニメーション、ダンデライオンアニメーションスタジオ(『THE FIRST SLAM DUNK』制作)、MAPPA(『呪術廻戦 0』制作)
蕗谷虹児賞:
寺尾優一(『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』撮影監督)、木村真二(『漁港の肉子ちゃん』美術監督)、亀田祥倫・中野悟史(『犬王』総作画監督)